国税調査と金融機関情報
○はじめに
現在、行政機関は金融機関との情報連携を円滑かつ即座にできるシステムを構築し、個人の預貯金情報の把握に乗り出しています。平成30年の夏を目途に、一部の金融機関と実証実験を開始し、平成31年度前半から順次、全国の金融機関との接続を目指しています。
○預金情報と国税調査
現在も、国税調査のほか地方税・年間保険料の未払者や生活保護を申請する者の資産を把握するために、行政機関は金融機関に対して預貯金情報を請求しており、その件数は年間数百万件に及んでいます。金融機関は、月数十万件もある情報照会の対応に数百人の人員で対応しているようですが、システムの情報連携が進むと、金融機関側は事務コストが削減でき、行政機関側も効率的に処理を進めることができるようになります。
また、現在は任意の形で預金口座にマイナンバーを付番していますが、政府は数年後には預貯金口座へのマイナンバーの付番を義務化するとのことです。
現在においても、相続税の税務調査に限らず個人事業主や法人の税務調査で、税務署は対象の預貯金口座を把握して調査しています。税務調査において、預貯金口座の隠ぺいは重加算税の大きなポイントになるので、特に重視されているようです。
特に相続税調査においては、名義預金を探し出すために、被相続人だけでなく相続人全員の預貯金情報を照会していることも珍しくありません。また、相続人が誰も知らず眠っていた預貯金口座が税務調査で見つかったということもあるようです。この場合は、税金を払わないといけませんが、相続人にとってはお金が手に入るので、それはそれで悪い話ではないようです。
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