所有者不明土地の問題とその対応(平成30年度税制改正要望から)
○概要
いわゆる相続登記(相続で所有権が変わった時にする登記)が未了となっている土地が全国で増えており、社会問題となっています。この問題について、法務省が登録免許税の特例についての税制改正要望を提出したので、その内容について要約・改訂し、ご紹介します。
○問題点
所有者不明の土地が全国で増えており、その原因は多々あるものの(所有者が外国人等)、この要因の一つとして相続登記がされないまま放置されているとの指摘があります。所有権が不明のままですと、土地が荒廃するほか、地方自治体にとっては公共事業用地の取得、農地の集約化等様々な分野において弊害となります。
法務省の調査によると、50年以上所有権が変更されていない土地は、大都市においては6.6%、中小都市・中山間地域においては26.6%に上るとのことです。さらに、民間の研究において、全国の所有者不明土地の割合は20.3%を占め、面積にすると九州よりも広い、約410万haにも上がると言われています。
○要望
以上の問題に対処するため、法務省は相続登記が未了のまま放置されている土地又は放置されるおそれのある土地について,登録免許税を免除することにより、自発的な相続登記を促すための制度を税制改正要望に盛り込みました。具体的には、①相続発生から30年以上経過している土地に関する相続登記にかかる登録免許税の免除。②課税標準額が20万円以下の土地に関する相続登記にかかる登録免許税を免除。を提案しています。
相続登記にかかる登録免許税率は現在0.4%ですが、土地の評価額が高額なためその分税額も高くなります。相続税についてはある程度覚悟されたお客様でも、意図していなかった登録免許税の高さに驚かれるお客様が多いです。
今回の税制改正要望では、現に相続に直面している方の負担はほとんど減らないと考えられますが、当面の対処とされていますので、今後さらに減免が見込まれるかもしれません。
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