事業承継税制、中小企業が積極利用〜条件緩和1年、届け出2,900件
- 概要
1年前の税制改正で利用条件を緩和したことにより、事業承継税制の利用が増加しています。 これにより中小企業の廃業に効果が期待できる半面、後継者難は依然として続いています。●詳細
平成30年度の税制改正で、中小企業の事業承継税制が大幅に改正されました。
事業承継税制とは、会社経営の後継者を決め、将来も事業を継続していく計画を提出すれば、 贈与税や相続税の納税を猶予するものです。孫の代まで事業が承継されれば、最終的に贈与税や 相続税は免除されます。
平成30年4月から、10年間の特例措置として、事業承継税制の利用条件が大幅に緩和されました。 株式数全体の3分の2という上限をなくし、従業員の8割以上を雇用するという制約も事実上、 撤廃されています。
その結果、平成30年度の承継計画の届出件数は2,907件となり、それまで約10年間の利用件数が約2,500件であったのを上回りました。
ただ、納税猶予を受けるには2023(令和5年)年3月末までに事業計画を提出し、2027(令和9年) 年12月末までに承継を実行する必要があり、事業承継が順調に増えるかどうかは不透明です。 また、計画を提出して実行に移せない場合は、逆に税負担が増えるケースもあります。
中小企業庁によりますと、今後10年間で70歳に達する中小・零細企業の経営者は245万人と されています。うち127万人は後継者が決まっていません。
廃業する企業は年間2万5千社超で推移しており、今後も廃業が急増すると、2025年(令和7年)までに 累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が失われると試算しています。
2019年(令和元年)度の税制改正では、個人事業主を対象にした個人版事業承継税制も創設されました。中小企業の数は国内企業全体の99%以上で、従業員数では7割弱を占めており、今後は人材の マッチングやM&A(合併・買収)仲介など、中小企業を後押しするための多角的な対策が必要です。【参考】
○中小企業庁ホームページ
・トップ→白書・統計情報→中小企業白書→2019年版→中小企業白書・小規模企業白書の概要
→(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/2019_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf)
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