相続関連法改正案と相続税
○はじめに
政府は現在、昭和55年以来の相続関連法制度の抜本的な改正を目指しております。その内容は、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度の創設、残された配偶者の居住権の確保、看護に貢献した人が相続人に金銭を請求できるようにすることが柱となっています。
○配偶者の権利拡充
今回の改正の中では、残された配偶者の生活への配慮を一つの柱として、見直されています。具体的には、相続開始の時から遺産分割終了時まで配偶者が住み続けることのできる「短期居住権」、その後も終身・一定期間住み続けることができる「長期居住権」を新たに創設することを目指しています。これらと関連して、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、配偶者が生前贈与・遺贈で取得した居住用不動産は遺産分割の対象外とする案などが盛り込まれています。
これらは、遺産分割の結果、配偶者が他の相続人の取り分を捻出するために居住地を売却するなどしてしまい、残された配偶者の生活が困窮するのを防ぐためです。
○相続税との関係
相続税実務において非常に気になるのが、「長期居住権」の評価をどのようにするかです。「長期居住権」は無償で使用及び収益する権利とされ、権利の消滅が原則配偶者の死亡時と、強い権利になるようです。また、配偶者が長期居住権を取得した場合には、その財産的価値に相当する金額を相続したと扱われることから、何らかの評価方法をもって、財産価値を算定し相続税の課税価格を構成するものと考えられます。
これについては、民法(相続関係)部会では、配偶者の平均余命年数に応じた係数の策定をするか等を議論されており、相続税務の財産評価においても参考にされるものだと考えられます。
○参考資料
・民法(相続関係)部会第25回会議 たたき台
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