上場株式等にかかる相続課税の不利(平成30年度税制改正要望から)

○概要
 投資と言ってもその方法は幾多もありますが、上場株式等への投資は非常に身近なものだと思われます。上場株式等への投資は個人の資産形成にとって重要であるのはもちろん、社会経済を左右するものでもあります。しかし相続課税の面では、他の資産と比べて不利な面もあるのです。この上場株式等に係る相続税の問題について、金融庁が税制改正要望を提出したので、これを要約・改訂してご紹介します。

○問題点
 相続財産の評価は時価によることとされていますが、実務上は財産評価基本通達によって評価されます。財産評価基本通達によると、上場株式等は原則として相続開始時の株価とされています。しかし上場株式等は、土地等に比べて、社会経済情勢等によりその株価は非常に不安定で、相続開始後において急激に下落する場合もあります。したがって、遺産分割協議が整わないとの理由により、すぐに売却できない場合、価格変動の影響を受けやすいのですが、財産評価上そのリスクに対する救済はないのです。この相続税の負担感・不安感が、高齢者の資産形成が価格変動リスクの低い預金や債券へ偏り、株式離れの原因だと指摘されています。

○対策
 上場株式等の相続税評価の見直しについては、平成28年度税制改正要望から継続して提出されています。また平成29年度における相続税の物納制度の改正要望は、実際に改正され、上場株式等による相続税の物納要件が緩和されました。今回の税制改正要望には具体的な施策が書かれてはいませんが、継続して議論されている問題ですので、今後相続税法等もしくは財産評価基本通達の改正などの動きがあるかもしれません。

○参考
財務省より平成30年度税制改正要望(金融庁)

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