子が相続放棄をすると、孫が相続人になるのか?
○相談事例
先日、お母様が亡くなられた方がご相談にいらっしゃいました。お父様は既にお亡くなりになっており、兄弟もいないとのことで、相続人は子であるご相談者のみとのことでした。しかし、自分ももう高齢で、自分の子(被相続人の孫)へ財産を渡したいので、相続放棄をしたいとのことでした。この場合、孫は相続人となるのでしょうか。
○ご回答
子が相続放棄をしたとき、孫は相続人となることはありません。
相続放棄をした人は、その相続に関して、最初からいなかったものとみなされます。(民法939条)
代襲相続するのでは?との質問を受けましたが、代襲相続が生じるのは一般的に相続人が被相続人の死亡以前に死亡した場合です。(民法887条第2項)
今回の場合、子であるご相談者が相続放棄した場合、次の順位である被相続人の両親(ご相談者の祖父母)が相続人となりますが、これらの方も亡くなられていたので、さらに次の順位である被相続人の兄弟姉妹(ご相談者のおじ・おば)へと相続人が変わっていくことをご説明しました。
結局、素直に相続した方がいいとの結論に納得されたようです。
孫に財産を移したい場合は、遺言書を作成するなど色々な手立てがありますので、生前にご家族とよく相談することが大事だと改めて感じたご相談でした。
○関係法令
・民法第939条(相続の放棄の効力)
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
・民法887条(子及びその代襲者等の相続権)
1 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。